京野菜・万願寺とうがらし

京野菜の一つとして今や全国的にもよく知られている万願寺とうがらし。

肉厚で柔らかく、甘みと独特の風味があり、煮ても焼いても、揚げてもおいしく召し上がっていただけます。

さてこの万願寺とうがらし、そもそもは大正時代末期、京都府舞鶴市の万願寺地方で既存種の伏見とうがらしと海外から入ってきた大型のピーマンを掛け合わせて栽培したものが始まりとされています。

地元の自家野菜として細々と受け継がれていたものが、およそ20年前、地元JAの働きかけで特産物として作付量を増やしていき、京都市場にも出回るようになりました。その後は京野菜の一角として確固たる地位を築くことになるのは皆さんもご存じの通りです。

けれど、全国的にはともかく京都府内でも広く知られるようになってからそんなに経っていないんですね。意外でした。

「京の伝統野菜」とは

京都で栽培されている野菜はすべて京野菜・・・という解釈は、広義では正しく、狭義では間違いだとも言えます。

京都府は昭和62年に、「京の伝統野菜」として以下の定義を定めました。

1.明治以前に導入された、歴史を有する。
2.京都市域のみならず、府内全域を対象とする。
3.たけのこを含む。
4.キノコ類、シダ類(ぜんまい、わらび他)を除く。
5.栽培、または保存されているもの、および絶滅した品目を含む。

現在、現存するもの35種、絶滅したもの2種の37種が「京の伝統野菜」として認定を受けています。

ここで万願寺とうがらしの話に戻りますが、

先にも述べた通り、万願寺とうがらしの栽培が始まったのは大正末期。これは「京の伝統野菜」の定義1に抵触しています。

つまり、万願寺とうがらしは「京の伝統野菜」ではないのです。

ただ、一応はフォローをしておくと、認定を受けている37種に準ずるものとして、その末端に加える向きもあるようです。そうした野菜は万願寺とうがらしのほかに鷹峯とうがらし、花菜の2種があります。

一方で、万願寺とうがらしの原種ともいうべき伏見とうがらしはすべての定義を見たしているため、「京の伝統野菜」の認定を受けています。

人間に例えるなら、伝統を重んじる親よりも、革新を目指した子供のほうが世間に広く認められた、といった感じでしょうか。

まぁ、知名度だけのことで。知名度がないから親のほうがはダメとか、もちろんそういうことではありませんよ。

 「京のブランド野菜」とは

「京の伝統野菜」とは別に、「京のブランド野菜」と呼ばれるものもあります。

正しくは「京のブランド産品」といい、社団法人 京のふるさと産品価格流通安定協会によって以下の条件、基準の下認定されています。

【京のブランド産品の条件】

  1. 農林水産物全般が対象
  2. 高規格のブランド認証基準(※)
  3. 市場流通する生産量
  4. 加工向け産品は除く(消費者の目に触れる)
  5. 有識者の審査会をパス
【認証基準】(※)
(1)イメージが京都らしい
(2)(1)以外のもので販売拡大を図る必要がある。
(3)次の要件を備えている
・出荷単位として適正な量を確保
・品質・企画を統一
・他産地に対する優位性・独自性の要素がある。

なんというか、いろいろとあれやこれやが絡んでいそうな雰囲気ですが、ともかくも現在までに27品目が認定され、そのうちの20品目が野菜(うち13品目が「京の伝統野菜」、2品目がそれに準ずるもの)となっています。

この「京のブランド産品」では、伏見とうがらし、万願寺とうがらしの親子も仲良く一緒に認定を受けています。

しかし、一言に京野菜といってもいろいろと複雑な事情があるものですねぇ・・・。