ごぼうは野菜? それとも薬?

ごぼうといえばささがきにしてきんぴらやかき揚げ、ごろんと大きく切って煮物、この頃ではマヨネーズ風味のごぼうサラダなんかでもよく食べられています。

ごぼうが日本に伝わったのは平安時代といわれていますが、一方で縄文時代の遺跡にもその痕跡が残っていたり、確かなことはよくわかっていません。実際に食用にされるようになったのは江戸から明治にかけてだそうです。

もともとは薬草として日本に伝わったごぼう。とくに中国では生薬、漢方薬の材料として使われ、利尿や発汗、血液浄化に効果があるほか皮膚疾患にも有効といわれています。

このように薬用植物としては重宝されているごぼうですが、これを野菜として食用にしているのは日本と朝鮮半島と台湾、中国東部の一部だけです。しかも朝鮮半島以下の地域については日本人が伝えたもののようです。

 食文化の違いによる悲しい誤解

太平洋戦争当時、日本の捕虜収容所がアメリカ兵やオーストラリア兵の捕虜に対して食事としてごぼうを与えたところ、戦後その捕虜たちが「木の根を食べさせられた」として収容所の所長たちを虐待で訴えたという話があります。

当時の日本にとってもごぼうは貴重な食料で、それを捕虜たちに与えたというのはむしろ美談ともとらえられる話なのですが、文化の違いがもたらした不幸な出来事といわざるをえません。

和食がユネスコの無形文化遺産に登録された今、そんな悲しい誤解は今後少なくなっていくことでしょう。

 ごぼうの新常識

ごぼうの調理法といえば、皮を剥いて切ったらまず水や酢にしばらくさらす、と答える人は多いと思います。それが灰汁抜きや料理を彩りよく仕上げるために必要な工程だと思われてきました。

しかし、実際のところこの作業はほとんどの場合必要がないそうです。

ごぼうを水に晒すと滲み出してくる茶褐色の色素はポリフェノールの一種であるクロロゲン酸で、強い抗酸化作用があり、生活習慣病の予防や美肌効果や抗癌作用が期待されています。そんな有用な成分をみすみす逃がす手はありません。

クロロゲン酸はごぼうの皮と実の間に多く含まれているので、ごぼうの調理法としては泥を綺麗に洗い流した後は皮は剥かない、剥くとしても包丁の背などを使って軽くこそぎ取るくらいにして大振りにカット、そしてすぐに調理するという方法がおすすめ。水にさらす必要もありません。そうしたほうがごぼうの香り、風味が強く感じられます。

ただ、切り口が黒ずんでいるものはさすがに灰汁が強いので、その場合はほんの10秒ほど水にさらしてください。

また、ごぼうは食物繊維が豊富なことでも知られています。デットクス効果も高いということです。

冒頭でごぼうは野菜か? 薬か? などと問いかけましたが、美味しく食べられてなおかつ様々な薬効があるのですから、野菜であり薬である、というのが正解ということにしておきましょうか。